チラシなどの印刷物を依頼するときには、検索エンジンを使って印刷に連想されるキーワードで検索していくことが多いでしょう。印刷物を発注したいマーケティングご担当者であれば、検索エンジンの表示結果に「ネット印刷」や「印刷通販」関連のページがずらっと上位から表示されるといったことを一度はご経験されているでしょう。
初めて発注する印刷会社の、印刷物の仕上がりを確認するために、お試しで発注してみたり、印刷会社を乗り換える検証をするには、検索結果にたくさん表示されている印刷会社の中から価格比較だけでなく、実運用上で課題が発生しないかどうか各社を比較して、実際に運用する印刷会社を選定し決断をすることになるでしょう。
本記事を通じて、市場で一般的な認知を得てきたネット印刷が、なぜ安価で提供できるのか、理由や原理を理解することで実際に発注するときのヒントとしてご活用いただけます。また、ネット印刷会社を選定するうえで価格以外でも押さえるポイントをあわせて紹介します。
目次
販促活動の手段として見直されている印刷物
2020年の新型コロナウィルスの流行以降、在宅勤務や勤務地の分散化で、これまでの働き方は大きく変化しました。これまで都心部で働いていた方が、在宅で仕事をしたり都心を離れて活動できるケースが多くなってきました。
印刷物の主要な使われ方であるチラシ等の商業印刷は、テレワークの推進が進むことで、紙面の構成の仕方・内容・取り扱う商材・誰に届けるのか、コロナ禍より前の時代とは大きな変化が起こっています。特に、個人に対してどんな価値体験をもたらしたいのか、紙媒体のあり方が見直されてきています。
マーケティング担当者は、複雑で不確かな時代背景の中で、多くの販促ツールや販売チャネルの中から選定をしていかなければいけない時代となってきました。印刷物の作成・製造委託は、ルートセールスで訪問してきているような従来型の印刷会社を通じた猛プッシュを受けて作成する時代から、自分自身が適切な印刷会社を選定して発注できるようになりました。
印刷物作成する企業の選定では、既存の印刷会社だけでなくネット印刷の活用や、発注者自身・企業にとって利益の出る最適な印刷会社を選定することが求められます。
今現在、ネット印刷を利用していない企業が、乗り換える印刷会社を選定するために、価格面や品質の安定性などの知識を発注者側が多く判断材料を持つことで、自分にフィットした印刷会社を選定することができるでしょう。
オフライン広告の有効性が見直されている点
本記事をご覧の皆様の中には、検索エンジン連動型広告・バナー広告・メール広告など、オンライン広告に出稿している方も多くいらっしゃるでしょう。オフライン広告というと、 古典的な方法として新聞折込やポスティングチラシなどがあります。昨今では、オンライン広告とオフライン広告を使い分けることが見直されてきています。
集客やリードの獲得としては、オンラインセミナーやオンライン広告を活用、より契約に近づける育成の手法としてオフライン広告を通じて、製品やサービスをもっと理解していただきます。段階を通じて気付きを深めてもらいながら契約や顧客化するというもので、オンライン・オフラインの融合が活用されています。
コスト削減施策として着手しやすい点
2000年より前までの時代は、印刷物の作成には高いイメージがありました。ネット印刷が印刷業界の主流となってきてからは非常に安価に印刷物を作成できるようになってきました。印刷物作成の価格が半分になれば、施策も倍打つことができることになります。
ネット印刷会社の乗り換えを検討することで、コスト削減することもでき、様々なシーンで発注者側にとってメリットになることもあるでしょう。
ネット印刷とは?
ネット印刷とは、印刷物作成のEコマースサイトのことを指します。インターネットを通じて印刷物の仕様を発注します。その後、印刷物作成に必要な印刷物作成用のソフトウェア(Adobe IllustratorやInDesign)、オフィスソフト(Microsoft ExcelやPowerPoint、Word)をアップロードします。
印刷物作成のEコマースサイトにデータをアップロードすることを「入稿」と呼びます。入稿されたデータを印刷会社は、印刷・後加工をして、指定のお届け先に納品します。すべての工程がオンラインで完結する印刷物受注の形態を「ネット印刷」「印刷通販」と呼ばれています。
2000年代初頭よりEコマースで印刷物を受付するという「ネット印刷」「印刷通販」といった事業を展開する企業が世の中に出てきました。同時期には、Adobe Illustrator(イラストレーター)やQuark XPress(クォーク エクスプレス)など印刷用ソフトが実用的になり、一般企業が印刷データを作成できるようになってきました。
また、印刷会社においては、従来のフィルムから版に焼き付ける版作成の形態から、データからダイレクトに印刷用の版を出力できる機械(CTP)が主流になってきました。さらにインターネット回線が各企業でも一般的になることで、WEBブラウザを通じた受付窓口や大容量データ送信が主流になり始めてきました。ソフトウェアとハードウェアの環境が両面で整ってくることで、ネット印刷の土壌が出来上がってきました。
印刷物を安く作れる理由とは?
印刷物を製造する過程としては、製版をする工程がフィルムからコンピューターに変化しているなど技術革新はありますが、工程そのものに対して大きな変化はありません。
印刷データが規格化されてきたり、大容量データの送信が一般的になったり、テクノロジーの発展により、製造コストを下げることができるようになってきました。下がったコストを販売価格に転嫁することで、安価を実現している、と言えるでしょう。
セルフ方式の発注と印刷物の規格化による「安い」の実現
お客様に仕様をご選択いただくことで、これまで印刷会社の社員が仲介していた仕事を効率化することができるようになりました。印刷用データの作成も、お客様自身で作成いただくことが一般的となってきた時代背景により、印刷会社での作成負担が少なくなってきました。
印刷データづくりではお客様が主導権を持つようになり、印刷会社側も業務効率化され、人件費や労務費を削減することが出来て「安い」価格での提供ができるようになりました。
種類や規格を集約させることで「安い」を実現
これまでの印刷業界では、1種類の版に複数のお客様のお仕事をまとめることは稀でした。複数のお客様を1種類の版に設定してしまうと、刷り色がどちらかの案件に寄ってしまい希望の色にならないことや、後加工時にそれぞれの案件が取り違えてしまうといった、不具合を誘発してしまう可能性がありました。
弊社を含めた印刷会社では、取り違えを防ぐための各印刷会社の独自技術や、印刷機器の技術向上による品質面の担保ができるようになっています。
ネット印刷においては、同じ用紙銘柄や厚さに複数の案件をまとめて印刷する「多面付け」という技術により、印刷物をまとめて作成することがあります。このことにより、時間短縮や効率化が実現され「安い」価格で提供することができるようになっています。
どんな印刷物を作成することができる?
最も多く作られている印刷物は、販促物やバラマキに利用される「チラシ(ちらし)」です。商業印刷に該当するものが多く使用されているほか、オフィスの消耗品である名刺や封筒といった印刷物も、利用されることが多い印刷物です。
以下に、ネット印刷で取り扱っている代表的な印刷物を列記します。
- チラシ(ちらし、フライヤー)
- はがき(ポストカード、郵便はがき、年賀はがき)
- ポスター(パネル加工ポスター、タペストリー、大判ポスター)
- パンフレット(二つ折りパンフレット、三つ折りパンフレット、観音折りパンフレット)
- 冊子・綴じもの(中綴じ、無線綴じ)
- 名刺
- 封筒
- ウェアプリント(Tシャツ、マスク、手袋、スウェット)
- うちわ(柄付きポリうちわ、円形うちわ、抗菌うちわ)
- カレンダー
- 等身大パネル
- クリアファイル
- DVDジャケット、CDジャケット
- 伝票
- 紙袋
- 包装紙
- ダイレクトメール発送(はがきDM、封書DM)
紙を対象とした印刷物だけでなく、硬質なものやウェア類に印刷することも「印刷物」と呼びます。
校正や納品スケジュールの調整にも対応
印刷物を頼んでいた方であれば、「校正はどうするの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。一般的にネット印刷では校正を実施していない印刷会社が多いことも事実です。
ネット印刷の中には「簡易校正」に対応しているサービスもあります。高品質のインクジェット出力で、実際の印刷で出力されるイメージをシミュレーションすることができます。「簡易校正」に対応しているネット印刷であれば、従来から実施していた「校正がないと進めない」というお客様のご事情もクリアすることが出来ます。
また、「価格があまりにも安いし、営業もいないんだから、いつ届くかわからないんじゃないの?」と心配する声が出るかもしれません。「着日指定・お届け日指定」が利用できるネット印刷サービスであれば、お届けスケジュールをずらすことなく注文できる点で安心できるでしょう。
きめ細やかな印刷を希望する場合であれば人を介在させることでメリット
対面での印刷物作成の打ち合わせや、色味合わせがシビアな案件における印刷立ち会いは、ネット印刷がデメリットになることがあります。「価格が安い理由」で述べさせていただいたように、多面付けが前提であることが多いため、細かい色調整をご希望されるお客様にとっては使いづらいケースがあるかもしれません。
ネット印刷を使いながらも、対面も希望される場合は、ネット印刷サービス会社が対面窓口を持っているかどうか、が選定のポイントになるかもしれません。
ネット印刷に依頼しやすい印刷物とは?
規格化されている仕様については、ネット印刷で依頼するのに向いていると言えます。先に列記したような印刷物の例を参考に、サイズや後加工がネット印刷サイトに記載の規格であれば依頼しやすい印刷物と言えるでしょう。
例)A3チラシ・フライヤー(コート110kg)/二つ折り/仕上がりA4/3箇所納品
ネット印刷サービスによっては「簡易校正」「着日指定」が利用できるケースがありますので、もし既存の業務フローに重ねて検討した際に、依頼を検討する事ができるかもしれません。
仕様がネット印刷会社の規格にない場合でも、「見積もり」をリクエストすることで解決できることもあるかもしれませんので、「依頼しにくいかもしれない印刷物」と思っていても、一度相談してみることで解決できることがあるかもしれません。
ネット印刷スプリントを選択する理由
本記事を掲載している弊社は、「ネット印刷スプリント」を提供しております。規格化された商品群の他、次のような強みを持っています。
- JapanColor(ジャパンカラー)対応と独自の印刷技術による、印刷濃度管理システムを持っている。
- 最長納期が短い。短い納期でも安い。
- 簡易校正に対応している(一部例外もございます)。
- 着日指定に対応している。
- 電話や連絡が繋がりやすいカスタマーサポート
- 見積もりの窓口を持っている。
- オフライン対応や面談にも対応しているスタッフが在籍している。
- 取材対応可能な印刷データ作成やWEB制作・動画制作など周辺領域を対応可能なグループ会社がある。
価格比較だけで選定しがちなネット印刷会社ですが、色味や対応など、様々な角度から自身にピッタリの印刷会社をご選定いただけることを願っています。