印刷物や販促物を作るために印刷会社とお取引をされる際「リッチブラック」という言葉を、もしかしたら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
弊社で運営している印刷物のEコマースサイト「スプリント/Suprint」では、ご入稿という形でデータをお預かりする過程で、「リッチブラック」に関するお話をさせて頂く機会が数多くございました。知っているようで知らない、リッチブラックとはどんなものなのか、ご紹介いたします。
本記事では、弊社で受付しているオフセット印刷のCMYK(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラック)としてリッチブラックを解説しています。
目次
リッチブラックの定義とは
印刷において、ブラック(黒色)を表現するにはK=100%で指定しますが、色を混ぜたものでも黒色を表現することができます。リッチブラックとは1色で表現した黒色ではなくて、他の色を混ぜて表現した黒色のことを指します。
例えば、[C=30% M=30% Y=30% K=100%]のように、K=100%にいくつかの色を加えたものなどがリッチブラックに該当します。その他にも、[C=80% M=80% Y=80% K=80%]のように、K=100%でない場合でも黒色に見えるためリッチブラックに該当します。
リッチブラックの効果とは
黒色(K=100%)で表現できるのに、なぜリッチブラックを使うのでしょうか。リッチブラックをお使いいただくことで得られる効果は次のようなものです。
- 黒色にその他の色を混ぜることで、深みのある重厚感のある黒色を表現できる
- K=100%だと地の色が透けてしまうので、リッチブラックで見栄えを良くすることができる(※1)
※1 用紙によって透け具合が異なります。
リッチブラックの使い方事例として、K=100%の地色の上にリッチブラックで模様を乗せることで、見る角度や光の加減で模様が見えるような表現を施すことができ、デザインの幅を広げることができます。
次に「イラスト」を使った販促物を作成しているお客様の事例をご紹介します。このお客様は、イラストのなかでキャラクターを表現する場合に、顔の中に含まれる眉などの「黒色」と頭髪の「黒色」が下の色の影響で異なった色として表現されていました。リッチブラックにすることで統一した黒で表現できるようになりました。
その他の効果として、紙面の背景を黒にしたい場合にK=100%で設定すると、まれに紙粉等でところどころ白い点が出現する場合があります。30%程度で他の色を加えたリッチブラックにすることで目立ちにくくなります。
リッチブラックを使う上で留意したい点
細かい文字や細い線で使用してはいけない
オフセット印刷の場合、CMYKの4色をかけ合わせて色を表現していきます。そのため、そぞれの版が極微少にずれたときに、にじんで見えてしまい文字が読みづらくなってしまうことがあります。また、背面の黒色をリッチブラックとして、白文字で表現する場合においても、版の極微少なずれにより、文字や線が潰れてしまったり、ずれて見えてしまうことがあります。
CMYKの掛け合わせが濃すぎてはいけない
CMYKの濃度をそれぞれ足したときの値が350%を超えないようにします。4色それぞれの割合を足した値のことをTAC値(タック値・総インキ量・限界値)と呼びます。TAC値は印刷会社や印刷機によって異なります。弊社の場合では、350%を上限としています。
例えば380%といったように、この値が高すぎる場合はインクが乾かなくなる可能性があり、裏移り(セットオフ)や用紙同士がくっついてしまうことが起こってしまうことがあります。そのため弊社では、データを確認する際に濃度を確認させていただいております。https://www.youtube.com/embed/LgsJSBaRX2k
印刷の仕上がりイメージが確認できる無料の用紙見本帳
印刷物・販促物作成のEコマースサイト「スプリント/Suprint」では、印刷物作成をご検討されている方が仕上がりイメージをご検討いただけるような用紙見本帳を無料でお配りしております。複数の色をかけ合わせて表現した線など、印刷の特徴をご確認いただけます。