液晶モニタで確認する色と印刷物の色の仕上がりの関係を理解する事で、自分が思い描く販促物を作ることができます。また、明度(明るさ)の調整や色相、彩度の調整方法について理解すれば、いろいろな画像に技術を応用し、画像を美しくプリントできます。
みなさんは、スマホやデジカメで撮影した写真を印刷したとき、当初想定していた仕上がりと異なって、不満をもったという経験はないですか?また、どうすれば思い通りの画像の色を印刷物としてプリントできるのかご存じでしょうか?
もしかして、下記のことで思いあたることはないですか。
- 自社の液晶モニタでは、綺麗に画像が見られるのに、印刷すると思い通りの色が出ない・・・
- もし、色彩の調整ができるようになったら、自分でいろいろな画像の色味を調整したい・・・
- 社内に、画像加工に詳しいデザイナーがいないので、できれば最低限の基礎知識だけでも押さえたい・・・
「こんなふうに印刷したい」という思いがあっても、撮影した写真や販促物に用いる画像をどんなふうに調整したら良いのかわからないという事がありますよね。どれだけ上手く撮影しても明度や色彩の調整方法を知らなければ、綺麗な印刷物を作ることはできません。
本記事では、販促物の発注担当者が知っておきたい印刷物に用いる画像をキレイに調整する方法をご紹介します。色や明るさに関する基礎知識から写真撮影した画像の修正方法にも触れていきたいと思います。スマホやデジカメで撮影した画像の修正方法として、知識をお役立ていただければ幸いです。
目次
撮影した画像を綺麗に印刷する方法
それでは、スマホやデジカメで撮影した画像をキレイに印刷する方法をご紹介します。デザイン用語など基礎知識から順番に押さえて、最終的には画像の調整ができるように知識をつけていきましょう。
色のチョイスは気持ち鮮やかに
広告を作る際、どんな配色するか色のチョイスに困ることはないでしょうか?基本的に、液晶モニタで確認できる色味とプリントしたときの印刷物の色味は、若干ですが異なります。なぜなら、液晶モニタの発色原理【赤(R)・緑(G)・青(B)】と印刷機の発色原理【藍(C)・紅(M)・黄(Y)・墨(K)】に違いがあるからです。そのため、実際よりもモニタで確認した画像の色は、印刷物よりも明るく鮮やかに見えます。
上記のような理由からプリントしてみると、全体的に色味がワンランクダウンして見えますので、撮影した画像をキレイに印刷したければ、色のチョイスは気持ち鮮やかにしてください。
明度・色相・彩度って何?
図1:明度・色相・彩度の関係性について
一部参照:いちあっぷ「覚えるのは色相・彩度・明度の三属性だけ! 初心者のための色彩講座」
一部参照:NOIE「色の心理効果【派手な色と地味な色】」
画像を調節する際は、明度や色相、彩度の基本的な違いについて理解しておきましょう。この知識を押さえれば、色味の違いがなぜ発生するのかが分かるようになります。
(1)明度
「色の明るさを表す属性」を明度といいます。明度が高くなると白色に近づき、明るく変化していきます。一方で明度が低くなると黒色に近づき、暗く変化していきます。画像の明るい・暗いは大きく印象を変えるので重要な要素です。
(2)色相
「赤(R)・緑(G)・青(B)」のように、色の方向性を表すものです。絵柄に対して、色の方向性が異なると違和感や嫌悪感を感じます。例えば、一般的に「海は青い」「森は緑」なので、違和感や嫌悪感を感じる場合は色相を調整していきましょう。
(3)彩度
「色の鮮やかさや色の強さ、インパクトを決定する属性」を彩度といいます。彩度が高ければ高いほど、鮮やかな原色に近づきます。一方で彩度が低ければ低いほど、モノトーンのような鮮やかさを感じない色へと変化します。彩度は色そのものを際立たせるたり、抑える作用がある事を理解しましょう。
明度(明るさ)の調整
図2:フォトショップの各種ツールの起動手順について
画像の明るさを変更したければ、明度の調整をしてみましょう。明度の数値を変更すれば、対象物の軽さを手軽に表現できます。明度を高めて、対象物に軽さを与えることで、全体的な明るさを調整できます。
それでは、実際に明度の調整方法を、トーンカーブやレベル補正の2つの視点からご説明します。もし、お手元にフォトショップがあれば、準備してください。お手元になければ、何かどの様に変わるのかについて確認していきましょう。
(1)トーンカーブ
画像の階調を補正するための機能をトーンカーブといいます。トーンカーブを使えば、画像の明暗やコントラストを調整できます。また、ハイライトやシャドウのレベルも整えられる便利な機能です。
フォトショップの上部メニューの「イメージ」→「色調補正」→「トーンカーブ」を選択してください。
すると、縦軸と横軸によって形成されたグラフが表示されるかと思います。縦軸は、出力値を表しており、横軸は入力値を表しています。簡単に説明すると、この直線を上げ下げして操作するだけで画像の明暗を簡単に調整できてしまいます。ちなみに、線上にできる点のことを制御点といいます。必要な分だけ制御点を作成してください。そして、必要に応じて各所で制御点の微調整を行うと思い通りの明度を表現できます。
(2)レベル補正
フォトショップの操作に慣れない方でも、レベル補正を使えば、明度を簡単に調整できます。フォトショップの上部メニューの「イメージ」→「レベル補正」に進んでください。すると、操作パネルが表示されるかと思います。ここで操作するのは、山のような形が描かれた「入力レベル」と呼ばれる項目です。その下に、3つの矢印があるかと思いますので、こちらを調整します。利用するのは、真ん中の矢印です。こちらを左右に振ってみてください。すると、明度を手軽に変更できます。
色相・彩度・記憶色が与える影響
続いて、色相や彩度、記憶色が与える影響についてご説明します。
(1)色相
色相は、色味を決定する重要な要素で、人が抱く感情やイメージを左右することができます。例えば、グリーンは、森林やリラックスなどの落ち着きと関連するイメージを与えることができます。白なら清潔感、青なら夏の海や冷静さ、オレンジは太陽や陽気さなど、色味が受け手の印象に影響を与えます。そのため、販促物に用いる画像パーツも行動させたい内容によって色相を変更すれば、申込率や成約率、入店率を高めることができます。
(2)彩度
彩度は、生き物の生命力を表す色といわれています。例えば、美しく咲いたばかりの花を観察してみると、花びらも葉っぱも原色に近く、色鮮やかであることが分かるかと思います。しかし、1ヶ月もすれば、咲いたばかりの花でもだんだんと色がくすんで枯れてしまいます。つまり、これは、彩度が高い状態から低い状態へと変化していく姿を表しています。強いインパクトを与えたいのなら彩度を高めて発色を良くすることで、消費者の視覚にアピールしやすくなります。
(3)記憶色
撮影者がスマホやデジカメによる撮影時に感じて記憶した色を記憶色といいます。例えば、美しいエメラルドグリーンの海を見たとき、人間は実物よりもキレイに記憶してしまいます。自宅に帰って写真を確認してみると、「もっと、キレイな海だったような…」というように、イメージと異なるのは、記憶色による差異が関係しています。
ですので、パソコン上で見る画像は、記憶色に近づけて加工する事でイメージ通りに仕上がりやすくなります。
写真撮影した画像の修正方法
人間は、美しい風景や食べ物などの印象を色鮮やかに記憶として残す傾向があります。人によって記憶色が異なりますので一概には言えませんが、画像を修正する際は、ちょっと大げさに鮮やかに明るくすると思い通りの画像に変わります。今まで、画像の加工をしたことがないのであれば、ぜひ今日から試してください。
おわりに
今回は、販促物の発注担当者が知っておきたい印刷物に用いる画像をキレイに調整する方法をご紹介しました。明度や色相、彩度をフォトショップなどのツールで調整すれば、商品の売れ行きやインパクト、イメージの良し悪しに影響を与えることができます。