デザイン会社にチラシを制作してもらい、見本データを確認して印刷したのに、完成した印刷物を見てみたら色合いがちょっと違う、という経験はありませんか?
実はパソコンのモニタで見ている色やオフィスのプリンターで印刷した色と、印刷会社の印刷機で印刷した色とでは、異なる色で印刷されることがあります。
色の違いを大量に販促物などを印刷する前に把握するため、最終的な色味を確認する試し刷りのことを「色校正」と呼びます。
今回は、そもそもなぜ色が変わってしまうのか?といった疑問への回答、制作する印刷物にあった色校正の選択方法などをご紹介します。
なぜ色が変わって見えるのか?
プリンターや印刷機によって色が変わる
印刷物の色合いは、全く同じファイルで出力しても、プリンターや印刷機の種類によって色合いが異なります。今回はよく使われる三種類の印刷方式についてご説明します。
レーザープリンター、インクジェットプリンターの仕組み
まず一つ目はレーザープリンターです。レーザープリンターは感光体(トナーインクを転写させるドラムのこと)にレーザーを使ってトナーを付着させて印刷するプリンターです。印刷速度が早く、インクの定着性も高く、耐久度に優れているので、主にオフィスで使われることが多いです。
二つ目はインクジェットプリンターです。インクジェットプリンターは、インクを直接用紙に吹き付けることで印刷するプリンターです。色の再現度が高く、プリンター本体の値段が安いため、主に家庭で使われることが多いです。
オフセット印刷の仕組み
最後はオフセット印刷です。オフセット印刷とは、現在の印刷方式の中で最もポピュラーに利用されている平版(へいはん)印刷の一種です。主に、書籍印刷、商業印刷、美術印刷など幅広いジャンルでオフセット機が使用されており、商業印刷機の多くを占めています。
以上でご説明した以外にも様々な印刷方式があります。同じファイルを使用しても各方式や使う用紙により印刷物の品質、再現性は様々です。品質へのこだわりや懸念がある場合には印刷をする前に色校正を行いましょう。
本機校正とは?
色校正は大まかに分けて二種類の方法があります。
まずひとつ目は本機校正です。本機校正は、実際に使用する紙と印刷用のインクを使用して実際に印刷する本刷と同じ機械で印刷する方法です。実際の印刷に非常に近い仕上がりなので、写真や色合いの確認に適しています。
デザイン・レイアウトのバランスの最終チェックや、「メリハリのついた立体感のある写真にあがっているか」「ボヤけたり、色が濁ったりしていないか」「顔色は健康的な色になっているか」「商品や製品の色は再現されているか」などの写真のチェックをします。
ただ、本刷の印刷機で刷ると印刷を調整したりする必要があり、紙を100枚近く印刷する必要があるため、かなりコストが高くなってしまいます。
本機校正に適した印刷物
前述した通り、かなりコストが掛かってしまうので、ポスターや、カタログ、記念誌などコストが掛かっても厳密な色目確認が必要な印刷物に適しています。コストを抑える方法として、写真が掲載されているページ、表紙など重要度が高いページのみ校正をとるなど「校正部分を取捨選択する」ことが挙げられます。そうすることで、コストを抑えるだけでなく、品質を担保することができるでしょう。
どんな方におすすめ?
やはりコストが掛かるので、ある程度予算に都合が付きやすい方に適しています。また、本機校正は印刷するのに時間もかかるので、納品までのスケジュールに余裕がない方はおすすめできません。
簡易校正とは?
簡易校正は大きく分けて二種類あります。まず一つ目はレーザープリンター方式です。こちらは、実際に使用する印刷方式ではなく、レーザートナーで印刷する方式の為、オフセットなどの印刷で発生する網点がなく、色の再現性は低いです。
二つ目はインクジェットプリンター方式です。こちらも実際に使用する印刷方式とは違いますが、前述した網点を擬似的にシミュレーションすることで、本刷をした際に近い色味を確認することができます。
どちらも本機校正に比べてコストも安く、また昨今はインクジェット方式を使った簡易校正での色の再現性も向上しているので、本機校正を出さずに簡易校正のみで済ませることもよくあります。
簡易校正に適した印刷物
レーザープリンター方式は色合いの確認が必要ない単色の印刷物や、文字中心の印刷物、サイズ感を確認したい時などにおすすめです。またインクジェットプリンター方式は写真や画像の色合いを確認しつつコストを抑えたい印刷物に適しています。
どんな方におすすめ?
本機校正とは逆にコストをなるべく抑えたい方に適しています。また、一度本機校正をした後に文字などの最終修正を確認したい時は簡易校正で済ませることもあります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は販促の担当者が知っておきたい色校正の基本をご紹介しました。販促物を制作するにあたり、決められた予算に合わせて色校正を選択するのはもちろんですが、予算を作成する段階で、色校正が「制作する印刷物にとって必要か?」と吟味、検討することも必要でしょう。
また、その際の注意点として、校正が何枚必要かも把握しましょう。例えば、担当者自身用と別拠点にいる上司用に2枚必要になる、といったように校正紙枚数も予算作成時に検討しましょう。
また、一度色校正を確認したものに色合いなどの修正を加えると、さらに色校正(2校)が必要になり、再度費用が発生する可能性もありますので、その点も合わせて、ケースバイケースで考え、色校正を選択しましょう。